輸送データロガーをご導入いただく前に、以下の点をご確認ください。
精密機械、化學品、電子機器等の高感度貨物は、輸送中にさまざまなリスクにさらされます。
道路・鉄道・海上・航空輸送を問わず、積み込み作業や輸送工程において衝撃や傾斜(チルト)が発生する可能性があります。
また、輸送中に変化する環境条件も、貨物に損傷を与える要因となります。
データロガーは各種センサーを用いて、温度、気圧、湿度、照度といった環境パラメータ、ならびに衝撃・振動などの機械的動的負荷を継続的に監視・記録します。
輸送中に発生する衝撃イベントは、産業製品・民生品を問わず、製品の機械構造に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
これらの損傷は、必ずしも外観から直ちに確認できるとは限らず、そのため加速度センサーによる客観的な記録データが極めて重要となります。
これらのデータは、責任の明確化や品質保証(QA)の根拠として活用できるだけでなく、輸送保険が適用される場合でも、補償額は実際に発生する可能性のある総損失の一部に過ぎないことが多い点に注意が必要です。
さらに、誤った輸送条件によって生じる二次的損失、たとえば製品不足による供給停止、予定外の再生産、納期遅延、業務中断なども考慮する必要があります。
適切な衝撃データロガーの選定は、輸送対象物および記録の目的によって異なります。
落下試験や試験輸送を通じて製品にかかる負荷を測定し、包装設計の最適化を行うのか、輸送中の状態を予防的に記録して早期に損傷を検知するのか、あるいは数週間に及ぶ輸送を記録し、各種規格・基準への適合性を証明するのかといった目的に応じた選定が重要です。
冷凍食品、医薬品、臓器、さらには一部のプラスチック部品など、腐敗性または高度に管理された貨物の場合、輸送および保管中において温度・湿度の制限値を厳密に遵守し、完全に記録することが求められます。
相対湿度は温度と密接に関係しており、露点という指標を通じて評価されます。
湿度の記録は、金属部品に発生した腐食や、有機材料における結露・カビ被害の原因特定にも有効です。
照度(Lux)も重要な物理的影響因子の一つです。
食品や化学品においては、太陽光による放射が貨物に悪影響を及ぼす場合があります。
一方で、照度パラメータは密閉容器の不正開封検知にも極めて有効です。
本来遮光されている容器内に光が検知された場合、それは容器が開封された証拠となり、盗難や不正操作の可能性を示唆します。
気圧もまた重要な測定項目です。
特に、変形しやすい貨物に対しては、気圧変化が製品特性に影響を及ぼす可能性があります。
プラスチック製の中空製品や、ガス・液体を封入した可変形容器などが代表例です。
とりわけ航空輸送においては、機内気圧の変化を継続的に監視することが不可欠であり、気圧データは輸送品質管理の重要な指標となります。
また、データロガーはどの程度の期間、記録を行う必要がありますか?
これは非常に重要な検討ポイントです。
数週間にわたる長距離の陸上輸送や、数か月に及ぶ海上輸送を監視する場合、短期間の輸送と比べてより大きなデータ保存容量が必要となります。
データロガーが記録できる期間は、内蔵メモリ容量と設定した測定(サンプリング)周波数によって決まります。
以下は、環境パラメータ測定における記録期間の算出例です。
温度・相対湿度・気圧などの環境データの記録期間を算出するには、
保存可能な測定データ数(メモリ容量)を、測定頻度で割ることで求めることができます。
例:
温度データロガーの保存容量が 200 万測定値あり、
温度を 1 分間に 2 回測定・保存する場合、記録可能期間は次のとおりです。
2,000,000 測定値 ÷(2 測定値 × 60 分 × 24 時間)= 694 日
データロガーにはさまざまなデータ保存方式が存在するため、
衝撃イベントの記録可能期間を一律の計算式で求めることはできません。
衝撃モードにおける記録可能なイベント数は、
衝撃イベントの継続時間、データロガーの保存容量、記録方式によって左右されます。
以下では、MSR データロガーを例に、保存容量および記録条件の違いを比較しています。
15 g および 200 g の衝撃を同時に検知可能
最大サンプリングレート時、衝撃イベントの典型的な記録時間は約 200 ミリ秒
GPS 機能搭載時:最大約 55 日間使用可能
GPS 非搭載時:最大約 1.5 年間使用可能
なお、環境データ(温度・湿度・気圧・照度)を追加で記録する場合、
その分、全体の記録可能期間は短くなります。
これは非常に重要な検討項目です。
貨物ごとに外力(衝撃・振動)に対する反応特性は異なり、必要とされる測定感度は輸送対象物そのものによって決まります。
たとえば、輸送中の貨物が高感度な医療用精密機器である場合、わずかな衝撃でも重大な影響を及ぼす可能性があります。
一方、家具などの一般貨物では、許容される衝撃レベルは比較的高くなります。
衝撃を評価する際には、最小加速度レベルおよび衝撃イベントの最小持続時間を考慮する必要があります。
これらの基準は貨物ごとに異なり、製品の構造・状態・用途によって左右されます。
基本的には、実際の輸送条件(実負荷)下で加速度センサーを用いた試験を実施し、貨物に加わる機械的負荷と実際の影響を確認することが推奨されます。
(想定される負荷は ±15 g 未満ですか、それとも最大 ±200 g 程度ですか?)
貨物は、鉄道・道路・海上・航空など、さまざまな輸送手段で運ばれます。
輸送方法によって、貨物に加わる加速度や衝撃の特性は大きく異なります。
たとえば、数週間にわたる山岳路線を含む陸上輸送や、数か月に及ぶ海上輸送を監視する場合、短期間の航空輸送と比べて、より大きなデータ保存容量が求められます。
意味のある輸送データを記録するためには、適切な測定レンジを持つ加速度センサーの選定が不可欠です。
測定レンジは、記録可能な最大加速度値(例:±15 g、±200 g)を示し、
加速度は重力加速度 g(9.81 m/s²)を基準とした倍率で表されます。
たとえば、
積み重ねや軽微な衝撃の監視であれば、±15 g のセンサーで十分な場合が多く、
トラック輸送や航空輸送時の強い衝撃を記録する場合には、±200 g 対応センサーおよび高サンプリングレート対応のデータロガーが推奨されます。
サンプリングレート(測定・記録頻度)は、単位時間あたりに取得される測定値の数を示し、
この値が高いほど、加速度イベントの波形やピーク値を高精度に再現することが可能になります。
輸送負荷を正確に記録するためには、毎秒 1,000 回以上のサンプリングが実証されています。
一般に、サンプリングレートが高いほど、実際の衝撃プロセスおよび最大値をより正確に捉えることができます。
また、3 軸(X・Y・Z)同時測定を行うことで、あらゆる方向から加わる加速度を網羅的に取得することが可能です。
この点は、輸送対象となる貨物の種類、輸送期間、輸送手段と密接に関係しています。
そのため、すべての重要な衝撃イベントを漏れなく記録できる十分な保存容量を備えたデータロガーを選定することが不可欠です。
これにより、取得したデータが実際の評価や解析において意味を持つものとなります。
以下では、MSR データロガーを例に、記録能力の一例をご紹介します。
±15 g および ±200 g の衝撃を同時に検知可能
最大サンプリングレート時、衝撃イベントの典型的な記録時間は約 200 ミリ秒
GPS 機能搭載時:最大約 55 日間使用可能
GPS 非搭載時:最大約 1.5 年間使用可能
なお、環境データ(温度・湿度・気圧・照度など)を追加で記録する場合、
その分、衝撃イベントの記録可能期間は短くなります。
データロガーを選定する際には、解析ソフトウェアの性能も重要な評価ポイントとなります。
解析ソフトウェアは、数百万件規模のデータを高速に処理できること、
および関連する衝撃イベントを迅速に特定し、各イベントの詳細データを確認・エクスポートできることが求められます。
衝撃イベントの評価においては、加速度のピーク値だけでは十分ではありません。
衝撃の持続時間も同様に重要な指標であり、
これにより、対象物に与えた実際の影響を他の衝撃イベントと比較・評価することが可能になります。
同じピーク加速度を持つ衝撃であっても、
衝撃持続時間が異なれば、対象物への影響は大きく異なる場合があります。
そのため、加速度の絶対値と衝撃持続時間の両方が、影響度を判断する決定的な要素となります。
MSR165、MSR175、MSR175plus 加速度データロガー向けの
MSR ShockViewer ソフトウェアでは、
衝撃強度(IoT)および衝撃持続時間(ToT)を用いて衝撃イベントをフィルタリングし、
最も重大なイベントに絞った効率的な解析が可能です。
また、衝撃イベントの周波数解析データは、
表形式およびグラフ形式で表示・エクスポートすることができ、
振幅スペクトル、パワースペクトルなど、複数の周波数解析手法に対応しています。
さらに、矩形窓・ハニング窓・ハミング窓など、
複数の加重(ウィンドウ)関数を用いた解析にも対応しており、
用途に応じた詳細な衝撃・振動解析を行うことが可能です。
振動測定を行う場合は、MSR165 データロガーの使用を推奨します。
衝撃モードによる記録に加え、MSR165 は振動データを連続的に記録することが可能です。
振動を正確に記録するためには、高いサンプリングレート設定が必要となりますが、その分、取得データ量が大きくなり、記録可能期間には制限が生じます。
記録容量を拡張するために、microSD カードを使用して、保存可能な測定値数を 200 万測定値から最大 1,000 万測定値まで拡張することが可能です。
以下の表では、MSR165B8(LiPo 電池 1,000 mAh)および
MSR165B52(Li-SOCl₂ 電池 3.6 V、2 × 7,700 mAh)の 2 モデルについて、
サンプリングレート別の概算記録期間を比較しています。
なお、環境データ(温度・湿度・気圧・照度など)を追加で記録する場合、
その分、全体の記録可能期間は短くなります。
詳細については、加速度測定に関する基礎資料をご参照ください。
また、サンプリング周波数は自由に設定できますか?
サンプリングレート(測定周波数)とは、単位時間(通常は 1 秒)あたりに取得される測定値の数を指します。
この値は、加速度イベント記録の精度を左右する重要な要素です。
サンプリングレートが高いほど、衝撃・振動イベントの実際の挙動をより詳細に解析することが可能になります。
輸送負荷を正確に記録するためには、毎秒 10,000 回以上のサンプリングが有効であることが実証されています。
これにより、加速度波形のピーク値を正確に再現することが可能になります。
測定は、3 軸(X・Y・Z)同時に行うことで、あらゆる方向から加わる加速度を取得できます。
一方で、高サンプリングレートには以下の注意点があります。
取得データ量が非常に大きくなり、保存容量や処理性能の制限に達しやすいこと、
また、連続測定・保存・処理によって消費電力が増加し、稼働時間が短くなる点です。
測定目的が短時間の衝撃解析ではなく、長期間の監視である場合には、
閾値(しきい値)および最小衝撃持続時間(ToT)を設定して、
特定条件を超えたイベントのみを記録する方式が有効です。
この方法では、関連するイベントのみが保存されるため、保存容量を効率的に使用することができます。
また、イベント前後のデータも重要であるため、MSR 輸送用データロガーでは、
イベント発生前の 32 測定値およびイベント発生後の 100 測定値が自動的に保存されます。
これにより、衝撃イベント全体の評価に必要なデータを網羅的に取得することが可能です。
輸送中の貨物の移動経路や時刻を把握・証明する必要がある場合、
GPS トラッキング機能を搭載した MSR175plus データロガーが有効です。
GPS により取得した位置情報は、
輸送ルートの可視化や重要な輸送イベント(衝撃・遅延・停留など)の迅速な特定に活用できます。
これにより、輸送状況の把握だけでなく、トレーサビリティ確保や品質・責任の証明にも役立ちます。
リチウム電池を搭載したすべてのデータロガーは、航空輸送時に国際航空運送協会(IATA)の規定を遵守する必要があります。
MSR の輸送用データロガーは、
より厳格な航空安全要件を満たす設計となっており、
航空輸送を含む国際輸送用途にも安心してご使用いただけます。
We offer best-in-class custom solutions for many different types of projects.
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